印=Emblem Project@山口県立大学
Emblem Project @ yamaguchi prefectural university
2008年08月04日[月] 14:43
7月24日から7月28日にかけてアーティストの野老朝雄(トコロアサオ)さんをお招きし、芸術村、山口県立大学、山口大学を巡り"印=Emblem Project"というワークショップを実施しました。野老というのはなかなか読みづらいのですが、トコロと読みます。野老とはユリ目ヤマイモ科の蔓性多年草の一群で、名字はこれに由来するそうです。ハート形の葉が特徴的で、野老さんのロゴの中でもよく登場するハート形マークは野老の葉をモチーフとしています。野老さんはご自分のロゴだけでもかなりのバリエーションをつくられており、そのほか様々な模様をつくりだして、それを建築空間や衣服のパターンなどの、多種多様な対象に実践しています。また、建築におけるサイン計画なども手掛けられています。今回は場所などを示すサインや、人や会社などを象徴するロゴマーク、行為を示す看板や標識のマークなど全てをひっくるめてエンブレムと定義し、それについて考えるワークショップシリーズといいうことで、“エンブレムプロジェクト”と名付けました。
プロジェクト概要や野老さんの経歴については以下のページを参照ください。
http://www.aiav.jp/programs/2008/emblem_project/
まずは7月25日に山口県立大学にお邪魔をして、建築やプロダクトデザインを学んでいる学生さんを対象に14:30より17:30まで3時間のワークショップを行いました。デザインの専門教育を受けている学生対象ということで、「エンブレム」を介して自分自身やその考え方を人に伝えることや、作品作りを通したコミュニケーションを重視した展開を試みました。導入として約30分間自己紹介も兼ねて、野老さんがこれまでの活動や作品の紹介をしたのち、ご自身のエンブレムを見せながら発想法や作り方にも言及し、今回の制作内容を伝えました。参加者に挑戦してもらうお題は2題です。ひとつめは黒いペンのみを用いて自分のロゴをデザインするロゴづくりで、もうひとつはコンパスで描けるラインのみで色紙を切りだして「自分の好きな景色」を貼絵でつくるcirclegraph(サークルグラフ)の作品制作です。

↑スライドを用いて説明する野老さん
まずはロゴづくりに挑戦!時間は約1時間で、とにかく手を動かしてみることが重要です。野老さんと、このプロジェクトにアシスタントとして参加してくれたデザイナーの四方さんが、各テーブルを巡ってみんなにアドヴァイスをし、ロゴづくりのきっかけを与えたりしながらコミュニケーションを図ります。学生さん達も、第一線で活躍しているプロのアーティストと接する機会はなかなかないようで、よい刺激になったようです。また、短い時間で作品をつくることも初体験だったようで、戸惑いながらも集中して制作しておりました。
自分をあらわすロゴというものは、それを見ただけでその人とわかるものがもちろん理想なのですが、自分のつくったものを人にプレゼンテーションすることもすごく重要です。そこでロゴが完成したら、それをみんなの前で自己紹介のように一言で発表してもらいました。野老さんの影響か、名前の文字を用いたロゴをつくる人が多かったですが、なかなか面白いものもいくつかありました。


↑左;各テーブルをめぐる野老さん、右;circlegraph制作の様子
次はcirclegraphの制作です。用意された色画用紙を用いて、18センチ角の正方形の台紙をつくり、その上に直径16センチの円を貼り付けます。そしてその16センチの円の中でコンパスで描ける線のみで好きな色紙を切りだして貼っていくことにより、貼絵で「自分だけの風景」をつくります。必須条件は自分のつくるcirclegraphにタイトルをつけることです。コンパスの曲線と色彩だけという限られた条件の中で、タイトルに対してどんな風景が作り出せるかがポイントです。野老さんは導入の解説として、ミニマルでシンプルな構成ですごく美しい風景が描かれている花札を例に挙げておられました。こちらはロゴより制限が多い分、逆にみんなどんどん手が動いていました。手を動かしてできたものをみて、それに対してタイトルを付けるという人もいました。完成後は教室正面のホワイトボードに貼り出して、順番にタイトルと作品について一言のコメントを発表してもらいました。シンプルな分コンセプトなどが明確に表現されていると、とても面白く感じられました。


↑左;貼り出されたcirclegraph、右;野老さんの作品、単純な仕掛けで筒の中では驚くような世界が展開しています
ロゴもcirclegraphも、紙とペンなどがあればどこでも誰でも実践できるデザインのベーシックなトレーニングになるので、今後デザイン教育の教材として発展させることができると非常におもしろいと思います。
(はっとり)
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