芸術村あーと・ルーム「洞窟を歩くための音楽」 1日目
"Sound for Walking in the Cave" 1st day
2009年07月15日[水] 15:11
電子音楽家の平樂寺昌史(heirakuG)さん、プログラマー/デザイナーの中村泰之さんを講師として招き、1泊2日の電子音楽ワークショップを行いました。
参加したのはゲーム音楽のクリエイターを目指す中学生やメディアアートを学ぶ学生、アーティスト、10年前から電子音楽を勉強したかったという50代まで、モチベーションの高い14名の皆さんです。
「洞窟を歩くための音楽」とは、秋芳洞を楽譜に見立てて音楽を創作するという試みです。
1日目はフリーウェアの音楽編集ソフトを使用して、パソコン上で、一つ~複数の音を伸縮させたり効果を加えたりしながら、短い音のループをつくりました。
そして、自分でつくった音の波形を使って、3~4人のグループでセッションを体験。音階やメロディではなく、音の変化や、音がからみ合ったり離れたりしながらつくっていくタイムラインに耳をすませて、セッションします。
さらに今回は、洞窟でのフィールドレコーディングを行う前に、秋吉台科学博物館学芸員の石田麻里さんから洞窟についてのレクチャーを行っていただきました。水流や地殻変動といった自然の力により生まれた洞窟が物語る歴史的な地形の変化や洞窟内の奥に入るにしたがって変化する構造や温度変化など、洞窟の中にあるさまざまな"変化"についてのお話のほか、石田さんの専門分野であるコウモリの生態や"エコロケーション"と呼ばれる超音波(エコー)を使ったコウモリの位置測定(ロケーション)の方法についてお話をしていただきました。さらに研究用の録音機材や音声解析ソフトを使ったデモンストレーションも見せていただきました。音と、生物の種類や年齢などを調査する生態研究の関わりについてのお話はとても興味深いものでした。


夕方からは、洞窟でのフィールドレコーディングに出かけました。
洞窟の中で知覚する情報を参加者がそれぞれの方法でレコード(=記録)していきます。洞窟入口から出口までの散策ルートを4つのパートに分け、3-4人の1グループが1パートを作曲します。
■パート1(洞窟入口~「広庭」)
洞窟を形成してきた大きな要素の一つ「水」の音が最も目立つエリアです。また、この時期はコウモリの子育て期で、洞窟の入口付近ではコウモリの赤ちゃんの声が聞こえます。このグループは、録音と写真撮影(画像をオーディオソフトに読み込んで音データに変換する)を手法にフィールドレコーディングを行っていました。
■パート2(「広庭」~「傘づくし」)
大きく視界がひらけるエリア。秋芳洞内には”傘づくし”“南瓜岩”“巖窟王”というように、名前のつけられた鍾乳石があり、日英中韓の4ヶ国語の音声ガイドが設置されて名所ポイントになっています。このグループでは、ガイドの音声を流し、複数のポイントで残響の採音と地図スケッチを行っていました。
■パート3(「傘づくし」~「黄金柱」)
地形の変化が最も多いエリア。ルート中にある名所(鍾乳石)のポイントからポイントへの変化を楽譜に見立てて楽曲の構成を練っていました。また、歩きながら水や鍾乳石などを触り、テクスチャを確かめていたのが印象的でした。
■パート4(「黄金柱」~「五月雨御殿」)
両側の壁がせまってきて、音も静かになっていくエリア。打楽器を持ち込み、響きの違いに注意しながらいくつかの箇所で録音していました。


1日目の全体プログラムは、ここまで。
夜は洞窟でのフィールドレコーディングで採集したデータと音源をもとに、各自が音の編集作業を行いました。2日目は朝からリハーサルを行って、とうとうライブセッションを行います。
(うちやま)
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芸術村あーと・ルーム「洞窟を歩くための音楽」 2日目
"Sound for Walking in the Cave" 2 nd day
2009年07月15日[水] 15:21
2日目はセッション・リハーサルからスタート。会場での音響効果を確認しながら、音の出力やタイミングを調整しました。夜中ライブセッションの音づくりに集中したせいか、皆さんちょっと眠たそうです。
そしてこのリハーサルから、アソシエイト・アーティストである中村泰之さんがセッションに参加。
中村さんは、ダンスの即興形式である”コンタクトインプロヴィゼーション”を例として挙げながら、互いに影響しあう音と光の合力によって生まれる創造空間を経験するための照明装置のプログラムを考案し、セッションに参加してくださいました。照明装置は洞窟内の写真からセンシングして彩度を取り出し、天井に投影すると同時にプレイヤーの音に反応して明るさの強弱が変化します。
「洞窟を歩くための音楽」は、洞窟のBGMやイメージソングとしてではなく、洞窟の中にある様々な要素――視覚的な情報にたよらず、実際に歩いた時間や距離、目や耳で知覚する音や質感、侵食や溶食の跡から想像される地形の変化と過去・現在・未来へ続く歴史的な時間など――を身体や記録デバイスを使って積極的に情報化し、編集して音空間をつくりあげる試みでしたが、2日間にわたるレクチャーからライブセッションまでの一連のプロセスが、とても貴重な経験になったと思います。
短い時間のなかでそれぞれ手法を絞り込み、ダイレクトに作り上げられたライブセッションの音源は、下のプレイヤーで聴いていただくことができます。
参加者がさまざまに削り出した洞窟のかたちをたどりながら、音の中を歩いてみてください。
ワークショップではさらに、講師アシスタントをつとめていただいたHead⇒Erectさんの音楽デバイスやレーザー装置などの機材を紹介し、heirakuGさんとHead⇒Erectさんにもライブを行っていただき、参加者にとっては、さまざまに広がりつづける電子音楽の可能性について考える、内容たっぷりのワークショップとなりました。
平樂寺さんは今夏7月にも、コンピューター音楽のみならず、より幅広い芸術表現の発表の場として、”earth song“を開催します。
現代音楽、視覚芸術、コンテンポラリーダンス、メディア・アート、デザインの分野にわたり国内外で活躍している若手アーティストを招聘し、ライブパフォーマンス(7月20日@下関市南部町郵便局内)と展示(7月11-18日@唐戸ふれあい通り・カラトコア1F平楽寺たばこ店)が行われます。ぜひ足をお運びくださいね。
(うちやま)

左:参加者によるライブセッション 右:heirakuGライブ
■「洞窟を歩くための音楽」 参加者によるライブセッション
□part1
□Part2
□Part3
□Part4
*Part2のみポータブルレコーダーで録音しているため、音質が異なります。
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芸術村あーと・ルーム「洞窟を歩くための音楽」 ライブセッション / heirakuG ライブ(6月28日)
"sound for Walking in the Cave" and heirakuG live
2009年07月25日[土] 19:09
2日間のワークショップの成果発表として行われた、参加者と中村泰之さん(照明装置)によるライブセッション
ワークショップの講師/ナビゲーターをつとめていただいた、平樂寺昌史(heirakuG)さんのライブ
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