trans_2009-2010 椎名勇仁さん藤島研究室訪問
2010年02月09日[火] 09:48現在、trans_2009-2010プログラムでレジデンス中の椎名勇仁さんは、地元の名産品であるゴボウと地域の人々の体の一部を合わせた彫刻作品を制作しています。
本館棟の前の畑にボランティアやスタッフと一緒にゴボウ(全長5m!)の穴を掘る椎名さん
野菜であるゴボウと人間のかたちを合体させるという試みは、椎名さんが探求を続けている植物と人間の共生体の可能性に関係しています。椎名さんは、もしも人間が植物の様に光合成をしてエネルギーを得ることができたり、母乳をつくって他人を助けることができたら、よりよい社会になるのではないかと考えています。「食べる」必要のために争いを繰り返してきた人間が、太陽を浴びるだけで生きて行くことができるとしたら、平等で平和になるのではないかという仮説を立て、様々な角度から探求しているのです。
先日、芸術村を取材に訪れた新聞社の方から、原生動物であるゾウリムシが緑藻であるクロレラと細胞内共生し光合成を行っているミドリゾウリムシの研究をしている山口大学理学部教授、藤島政博先生のことをお聞きし、動物と植物の共生体について、専門家の見解をぜひとも伺いたいと、2月6日(土)に研究室を訪問させていただきました。
藤島先生は、もし人間が光合成でエネルギーを得ることが可能になった場合、例えば、寝ながら日光を浴びるだけで生きて行けることになるので、食べるために使う労力と時間が減り、他のことに使える有効時間が増えるという利点があるかもしれないこと、しかし、より多くの日光を浴びるために争いが起きる可能性もあるかもしれないことなどをお話ししてくださいました。また、ゾウリムシには口があるが、ミドリゾウリムシになると口がなくなることから予測できるように、光合成がエネルギー源になった場合、物を食べるための口が不要になるため、口の機能は退化した後に消滅し、人間は動物ではなくより植物に近い状態になるだろうという想像に至り、人間と植物の共生体をつくることは、科学技術的にもまだまだ時間がかかることだと考えさせられました。
新しい生命体を作り出すことは倫理上の問題もあり、現実的に実現は容易なことではありませんが、椎名さんの思い描く、人間が人間として光合成を行い、より良い社会を築くという未来は、果たして空想の世界だけの夢でしょうか。藤島先生も仰っていたように、この先、自然環境が非常に悪くなった場合、人間に限らず動物が太陽の力だけで生きることができるとしたら、地球上の生命の存続の可能性につながるように感じました。また、ゾウリムシとクロレラが細胞内共生によりミドリゾウリムシになる過程を詳しく解説して頂き、両者が食うか食われるかの繰り返しの中、折り合いをみつけて共生する、その細胞レベルでの動きの中に動物としての人間の本質も垣間みることができるのような壮大な世界に、私たちは終始圧倒されっぱなしでした。
藤島先生は、2月19日(金)に「生物の多様性と環境適応」という講演会を企画されています。
さて、椎名さんのゴボウ碑制作も着実に進んでいます。
ワークショップで型取りした体のパーツはセメントの彫刻になりました
今はバラバラの体のパーツは、この穴の中で全長5mの巨大な一つのゴボウになる予定です。
このゴボウ碑を一緒につくりたい!という方がいましたら、ぜひご連絡ください。
お問い合わせ先
Email: trans2009@aiav.jp
TEL: 0837-63-0020
(塚田)
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