trans_2009-2010 レジデンス創作作品展
2010年03月10日[水] 10:393月6日にtrans_2009-210 レジデンスアーティストのの創作作品展「Space Reception」のオープニングが行われました。
1月10日からオープニングまでの2ヶ月間、創作活動をはじめ、アウトリーチ事業、地域交流活動等いろいろな活動を通して、レジデンス事業が行われてきました。アーティストもそれぞれの作品の創作作業に前日まで追われていましたが、無事に作品が完成し、安心した様子でオープニングを迎える事が出来ました。
オープニングはヴァレリア・ロクサナ・プリモストのパフォーマンスから始まりました。ヴァレリアは公共空間で身体がその環境にどう呼応するのかということを追究し、異なる環境の中でパフォーマンスを行っています。今回芸術村でのレジデンスプログラムを通して、芸術村を取りまく環境や、山口市内にある「すっぴん通り」に注目し、制作活動を行ってきました。「Public Boday」というテーマを題材にホールと中庭を使って行われたパフォーマンスは、彼女がその環境の中に存在するもの(ホール、聞こえてくる音、中庭にある石、観客など)をうまく適応させ、その中で彼女自身の身体の存在を表現した、素晴らしいパフォーマンスでした。照明や音響をほとんど使わず行われたパフォーマンスはとても新鮮で、このオープニングのテーマでもある「Space Reception」によく呼応した作品になったと思います。

クレア・ヒーリー&ショーン・コーデイロは「The Ultimate Field Trip - 最高の遠足」というテーマのもと、1986年に起きたチャレンジャー号爆発事故を題材に、異文間で生じる共感や誤解を探るインスタレーションをレゴブロックを使い制作してきました。唯一一般人として参加した学校の教師が、宇宙から行う授業の一つの題材として予定されていた「The Ultimate Field Trip」。その授業は実現されないまま、このテーマだけが残ってしまいましたが、彼女は宇宙からこのテーマについて、どういう授業を予定していたのでしょうか。その現実を踏まえ、クレア&ショーンは実現できなかった授業を作品のテーマとして取り上げ、彼らの視点から再現した、完成度の高い作品が出来上がりました。

椎名勇仁さんは塑造彫刻をベースに、もし人間が光合成ができたならという発想から、植物と人間のハイブリットを試みる作品を展開されています。今回は「Photosynthesizers - 光合成」というテーマのもと、美東町の特産でもあるゴボウと地元の人々の身体の一部をかたどって一体化させた、全長5~6mの記念碑的な彫刻作品をセメントを使って制作しました。

色々なリサーチと専門家によるアドバイスも受けながら、進行していったプロジェクトでしたが、椎名さんにとっても初めての試みであっただけに、作品が立つのかどうか不安が大きかったようです。しかしその努力の結晶ともいえる作品が芸術村の庭に立ちそびえ、存在感ある作品となりました。そのゴボウ記念碑の他にも、ヴァレリアとのコラボレーションで行った写真や、古事記の大宜都比賣(おおげつひめ)の神話からインスピレーションを受けてできた彫刻作品等、多数の作品を出品されました。
ヴァレリアのパフォーマンスが終了後、カフェでアーティストトークが行われました。進行役に山口大学准教授の藤川哲先生と、水戸芸術館学芸員で現代視覚文化の研究で活躍されている、高橋 瑞木氏をお招きし、レジデンスプログラムへの感想やこれからの制作活動を中心に、トークが進行されました。秋吉台で異なる環境や文化を吸収しながら活動してきたアーティストたち。芸術村に滞在し制作活動を行う事によって、色んな方面からのレセプションを受け入れ、それを形として残すことのできる貴重な体験に、アーティストそれぞれが感じた事や、体験等も交え、充実したアーティストトークとなりました。進行役を務めて頂いた藤川先生、高橋さん、本当にありがとうございました。

その後は交流会が行われ、観客とアーティストが美味しい食事を囲みながら、楽しい時間を過ごす事ができました。こういう交流の場を通して、来られた方々が直接アーティストに質問したり、感想を伝えることができることもこの交流会の魅力だと思います。
今週の日曜日、3月14日には、デザインサイエンティスト/シナジェティクス研究所所長として活動されている梶川泰司さんをお迎えして、スペシャルトークが行われます。聞き手として椎名勇仁さんにお話を伺って頂き、また異なる分野から見たレジデンスの作品へ感想やシナジェティクス研究についてトークしていただきます。
レジデンスの創作作品展は、3月16日(火)まで展示されておりますので、オープニングに来られなかった方も、この機会にぜひ芸術村まで作品を見にいらしてください!
(りえ)
posted by aiav | Permalink