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芸術村エコ・スタディーズ3
江藤由紀子「秋吉台でダンス」ショーイング

2011年03月21日[月] 15:58

2010年5月から11月にかけて行われた江藤由紀子のダンス交流プロジェクト「秋吉台でダンス」の成果として、合計3回のショーイングを行いました。

■ショーイングvol.3 〜秋芳町・別府神楽でダンス〜

(9:46)


■ショーイングvol.2 〜秋芳町・別府の梨畑でダンス〜

(5:57)


■ショーイングvol.1 〜美東町・赤郷の田んぼでダンス〜

(10:26)


たたみ二畳分の四角形を舞台に舞う神楽。神様へのお辞儀に始まり、お辞儀に終わる。
半歩ずつ四角形の舞台の周縁をたどるように歩く姿から始まる。頭が常に一定の高さを保ち、上半身が水平移動している。だからといって、腰を落としてスリ足にしているわけではなく、行進のように足を運んでいる。簡単そうに見えるけれど、足を引き上げる下半身の動きにつられて上半身が揺れてしまう。
途中で太鼓と笛が変調すると、役者は舞台の内側を使って舞いはじめる。これは、基本的には自転をしながら舞台上に円を描く動き。
私はこの別府神楽で舞に参加させていただくにあたってこの2つの基本動作を覚えることにしました。体の自転にまかせて景色が流れていくのを見ていると、時間の縮尺が変わっていくように感じ、さらに回転を続けるうちに、意識よりも先に動きだす体を実感することができる。そうでないと、自転する動きの時間軸に置いていかれてしまう。命の時間も縮めてしまうようでした。そして何度も回転し、太鼓と笛の変調とともに、また始めと同じように淡々と歩きはじめるのですが、その転換は、観ていても舞っていても気持ちがいいのです。
本番では、時間感覚の違いをより体感できるような自転の動きと、半歩ずつ周縁を歩く舞に自分なりの動きをプラスした振付をすることにしました。劇場とはまったくちがう…神様が座っている神殿を前に、周りには神楽を見にきたたくさんの地元の方々がいるという特別な場で、さらに自転したあとは目がまわって景色はぐにゃぐにゃ、まるで夢の中。
わたしが思うに、回転しているときのあの緩んだような時間は、後ろから前へと流れる時間から解放された瞬間なのではないでしょうか。そして静かな歩みに引き戻す太鼓や笛の音、そして舞の形は、そのような時間を行き来させる身体を扱う手法なのではないかとも、思います。静かに歩んでいると、そのような時間のギリギリの際にいるような気がしました。

「秋吉台でダンス」では半年にわたって、秋吉台で暮らす方々が、仕事や日常生活でどのように体を使っているのかを観察していました。環境が与える決まりごとのなかで、体に無理や矛盾がないように動き、さらにその時々で柔軟に動きを変化させることが、ごく自然に行なわれていると感じました。私は、自分の中で何か決まりごとを持ってしまうと不自由になるような気がして避けてきたのですが、今回は神楽の「基本の動き」を軸にすることで踊りを作ることができたし、私の踊りを神楽という場に繋ぎとめていただきました。
長い時間をかけて見極められた「基本」を授けていただくというのは、とても贅沢でありがたいことです。自分の身体だけでは生み出すことのできないものを体験させて頂きました。それは私にとって今後付き合っていくとても大切な財産です。私の舞の場を作ってくださった別府神楽保存会の皆様、本当にありがとうございました。

5月から11月まで、秋吉台の方々からさまざまな生活を体験させていただき、自然やさまざまな環境と生きることのさまざまな関わり方を学ばせていただきました。自分の生活環境に対応できるようにできている身体は、余計な力が入っていなくて懐が深く、とてもきれいでした。
このプロジェクトでご協力いただいた農家の栗栖さん、秋芳梨園の秋山さん、りんどう民舞の会の皆さん、青景神楽の吉村さんと皆さん、別府神楽保存会の皆さん、そしてこのプロジェクトを通して出会った皆さま、本当にありがとうございました。

江藤由紀子

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